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研究内容RESEARCH CONTENT

福林研究室


◆研究分野
 地盤工学、道路工学、国際協力、中間地インフラ整備、SDGs

土のうを路盤材として用いた道路インフラ整備に関する研究


開発途上国の都市・幹線道路の整備は進んでいるが、農村部の道路は地山状態や未舗装であることが多い。雨季になると路面が泥濘化しトラフィカビリティが確保されず、病院、学校、市場へのアクセスが困難になる。そこで、現地の材料と人力により農道の通行性を改善することを目的に、土のうを路盤に用いる手法を開発し適用している。さらなる普及と定着のため、土のう工法による路盤の設計指針の確立に向けた研究を行っている。

土のう路盤の変形特性

路床支持力や路盤材料特性や交通荷重を踏まえての、土のう路盤の断面の決定方法を確立する。そのため、実物大走行実験を通して、粒調砕石を人力と機械で締固めて構築された路盤と、同材料が中詰めされた土のう路盤の変形特性を比較する。

土のうを路盤とする未舗装道路設計への多層弾性理論の適用

設計手法の確立に向け、現行の砂利舗装の断面設計手法と多層弾性理論の適用性を検証する。既存の設計指針で定められた厚さを有する路盤と、同じ厚さになるよう土のうで構築された路盤について、ある交通荷重作用下の路面たわみ量を実験により把握した。このたわみ量となるよう、路盤の弾性係数を多層弾性理論の逆解析で求めた。

土のう中詰材の締固め度管理手法の検討

発展途上国では予算不足などの問題から未舗装道路が多く存在する。この解決策として土のうを路盤として用いた施工が行われている。しかし、施工中や施工後の品質管理は行われていない状況である。この原因として、土のうの締固め度の測定方法が確立していないことが考えられる。そこで、本研究では土のうの締固め度測定方法を検討し、締固めエネルギー、締固め度、弾性係数の関係を把握することで、土のうの品質管理手法の提案を行う。また、土のうの補強効果を調べる実験も行った。

開発途上国における住民参加事業の影響評価


開発途上国の地方や農村部における道路インフラの整備は遅れている。渡河部では河床上を通行しているため降雨で水位が上昇すると、道路は寸断されてしまう。誰も取り残さない持続可能な開発(SDGs)に寄与するため、住民参加と現地材料によるインフラ整備の支援アプローチやその適用性を、事例研究を通して検討する。フィリピンの農道渡河部で、行政、NGO、住民が連携し、沈下橋が建設された。その沈下橋構造の有用性や、周辺地域の影響を把握するため、現地調査を行っている。ここで得られる教訓をまとめ、支援アプローチを提案する。

農村渡河部で住民参加による沈下橋建設事業の影響評価と適用条件

フィリピン農村部に渡河部の通行性改善を目的とし、桁構造の橋に比べ簡易的な構造である、沈下橋の建設が2015年と2017年に行われました。また、この事業は、住民参加による施工体制で専門業者が介入せず、行政と住民、現地NGOの三者により施工されました。本研究では、住民参加で建設された沈下橋の影響評価と他の地域への適用条件の検討を目的とし、フィリピンで聞き取り調査と沈下橋の現状の視察、また、施工から数十年経過した国内の沈下橋の現状から将来的な予測を行う。

国道220号線の土砂災害発生予測に向けた研究


宮崎県・鹿児島県をつなぐ220号線では、頻繁に事前通行規制が実施されており、また土砂災害による斜面崩壊が多発し、通勤、通学、社会経済活動に多大な影響を及ぼしている。被害を最小限に減らすため、毎年防災カルテ点検が実施されている。その結果「要対策」と診断された斜面は崩壊危険性が高いものの、すべての場所で一度に対策工は実施できない。そこで危険性の順位付けができれば、効率的な対策ができると考えられる。本研究では防災カルテのデータ等をもとに統計的手法により、国道220号線の土砂災害発生予測に向けた研究を行っている。

国道220号線の土砂災害発生予知に向けた統計的手法の適用性の検討

本研究では、国道220号線の平成30年度防災カルテ点検を参考に、各斜面の土砂災害発生確率を算出した。分析による斜面崩壊予測や既設対策工の種類等のデータをGISに反映し、防災・減災対策の実施に資するデータベースとしての運用を目指した。これにより、統計的に斜面崩壊を予測するために必要な防災カルテ点検調査項目の検討を行った。